『徳島新聞』2009年12月2日付

鳴教大、残業代不払い 特別支援学校教員に


鳴門教育大学が、付属特別支援学校(徳島市上吉野町2)の教員に残業手当を十分に支払っていないとして、徳島労働基準監督署から是正勧告を受けていたことが1日、分かった。労基署は25日までに各教員の残業時間と残業手当の総額をまとめて提出するよう求めている。大学は「実態を調査した上で不払い分を支給する」としている。

鳴教大経営企画本部によると、11月6日に労働基準法違反の疑いで労基署の査察を受け、27日に学長あての勧告書を受け取った。内容は▽2007年12月から09年11月末までの2年間の残業の実態を調べて教員に不払い分を支給する▽勤務中の教員が十分休憩が取れるようにする−の2点。

付属特別支援学校は小、中、高等部に児童生徒が計60人在籍し、教員は30人。勤務時間は午前8時半から午後5時15分。通常、45分間の休憩を取らなければいけないが、各教員は昼食時間も児童生徒の給食指導などに追われ、十分休憩が取れていないという。

鳴教大は法人化した04年4月から教員との間で残業時間を1日3時間、年間で360時間にとどめる労使協定を結んでいる。08年9月に労基署から付属の幼稚園、小、中学校、特別支援学校の教員の勤務実態を十分把握するよう指導を受けていた。

特別支援学校では、教員がいったん帰宅した後に児童生徒の家を訪問するケースが多く、超過部分の大半がサービス残業として扱われていた。

鳴教大経営企画本部によると不払い分の支給を受ける教員は管理職を除く25人程度の見通し。企画本部の木下篤課長は「申請があった残業は支払っている。あらためて勤務実態を調べ、改善したい」と話している。

旧国立大学は04年の法人化後、労働基準法の適用対象となった。全国各地で教職員への残業不払いが発生し、同様の是正勧告を受ける例が相次いでいる。鳴教大の不払い発覚は初めて。

鳴教大職員労働環境協議会委員長の村田守教授は「労働の対価である残業代の不払いは許されない。職員が泣き寝入りしないよう、大学は職員全体の就労時間の把握に努め、きっちり支払ってほしい」と話している。