『毎日新聞』奈良版2009年11月29日付

事業仕分け:国立大運営費削減に反対 奈良女子大など声明


政府の行政刷新会議による事業仕分けで、国立大学への運営費交付金が「見直し」などと判定されたことについて、県内の国立3大学の学長が28日、奈良女子大で共同記者会見した。学長らは「高等教育政策の基本方針の確立と大学予算の充実を」と訴える共同声明を発表し、事業仕分けの判定の見直しを求めた。

会見したのは、奈良女子大(奈良市)▽奈良教育大(同市)▽奈良先端科学技術大学院大学(生駒市)の学長3人。事業仕分けでは、科学技術・学術関係予算や国立大学運営費交付金などが、相次いで「見直し」や「削減」などと判定された。3大学では総収入のうち運営費交付金が60〜70%を占めており、奈良女子大の野口誠之学長は「交付金1%の削減は教授3人の削減にあたる。研究分野が一つ削減されることになる」と危機感をあらわにした。

奈良教育大の長友恒人学長は「予算削減ありき。高等教育はすぐに成果が出るものではない。国家百年の計がなければ国が疲弊していく」と指摘した。奈良先端科学技術大学院大学の磯貝彰学長は、「自民党政権は科学技術立国を唱え、他の予算を削っても、科学技術への投資は増やしてきた。(民主党政権は)国の方針がないのに、個別に事業を見て仕分けされるのは少し違うのではないか」と批判した。【泉谷由梨子】