『しんぶん赤旗』2009年11月26日付

事業仕分け
国立大研究費を「縮減」
人件・施設費も「見直し」


政府の行政刷新会議(議長・鳩山由紀夫首相)は25日、2010年度予算概算要求の「廃止」「見直し」などの点検を行う「事業仕分け」 第2弾2日目の作業を行いました。

9大学の学長らが削減反対を要求している国立大学運営費交付金について、民主党国会議員や民間の「仕分け人」は、一般管理費(大学職員の人件費や施設の修繕・維持)について「見直し」、「特別教育研究経費」(世界最先端の研究など)を「縮減」と判定しました。

旧自公政権は、国立大学交付金を毎年1%ずつ(5年間で720億円)削減してきました。その結果、基礎研究が衰退し、地方大学、人文系、教育系大学は深刻な事態に陥っています。民主党は先の総選挙公約で国立大学交付金の削減方針を見直すとしていました。

縮減とされた「特別教育研究経費」は、ノーベル物理学賞受賞に結実した東京大学宇宙線研究所のスーパーカミオカンデや高エネルギー加速器研究機構の「Bファクトリー」など世界最先端の研究の推進にもかかわるものです。

「仕分け人」の中村桂子氏(JT生命誌研究館館長)は、「大学の先端的取り組み支援」の予算要求が「3分の1程度縮減」と判定されたことに見直しを要求。しかし、「仕分け人」統括役の枝野幸男衆院議員(民主党)に却下されました。

3時間近く立って傍聴していた大学院生(25)は、「『人件費削減』と簡単に言いますが、切られるのは『人』です。軽々しく言っていいんですか。人の存在は無駄ではない。特別研究員約5000人の命もかかっている」と憤りを語りました。

増額へ共同広げる

全国大学高専教職員組合(全大教)の竹中寛治書記次長の話 大学の基盤を支える運営費交付金は、毎年1%、病院部門では2%削減され、 大学の教育・研究・医療水準の維持、運営に多大な弊害をもたらしています。

大学の教職員は教育・研究・医療の現場で非常な苦労、努力を強いられています。

運営費交付金について大学関係者の要望はハッキリしています。一刻も早く削減をやめ、直ちに増額することの一点です。

5年間で720億円も削減された基盤的経費について、一体これ以上何を「見直す」のか。

全大教は運営費交付金の増額めざし、すべての大学関係者との共同を広げて政府、国会への働きかけを強めていきます。