『大分合同新聞』2009年11月22日付

大分大 授業の映像高校に配信


大分大学(羽野忠学長)は日常の授業の映像を大分県内の高校に配信するサービスを始めた。高校生に自分の好きな分野の本格的な学習に早くから親しんでもらう同大の「高大接続教育」の一環。少子化で受験生が減少する中、大学の研究内容を積極的に情報発信することで意欲的な学生を獲得する狙いもある。県内の大学では初めての取り組みで、全国の国立大でも珍しいという。

配信先は大分雄城台、大分商業(大分市)、日田、安心院(宇佐市)の県立4校。県の高速通信回線「豊の国ハイパーネット」を通じ、「哲学概論」など教育福祉科学部の3科目から希望するものを毎週1回の授業時間(午後4時半〜6時)に同時中継している。

このほか毎月1回、同大の教員が交代で専門分野の授業をする「高校生のための特別講座」を中継。部活動などで決まった時間帯の受講が難しい生徒のため、経済学部の1講座(全14回)の録画映像を高校の希望する時間に配信している。

受講する高校生は通常講座が延べ約60人、特別講座は大学に直接訪れる生徒を含めると延べ約300人。配信を受ける高校からは「大学での学習内容を体験することができ、生徒の学習意欲を高めている」(日田高)、「大学が近くにない地方の高校なので、映像配信は大学教育に触れる貴重な機会」(安心院高)と好評だ。

同大ではゼミ形式の授業を地元の高校生に開放し、学生とチームを組んで研究できるようにしているが、参加者は大学に直接通える大分市中心部の高校生に限られていた。

今回の配信サービスでは、高校の教室の映像も大学で見ることができ、質問や指名など双方向の通信ができるようにしており、距離による受講機会の損失をなくす狙いもある。授業の初めに教員や講師がモニターを通じて生徒の出欠確認をするなど、教室の一体感を生み出す工夫をしている。

大分大学は「高校生が受験勉強と大学で学ぶ内容との違いを埋め、自分が長く勉強していきたいと思える分野を見つけてもらいたい」(経済学部の宮町良広教授)との考えで、配信先の高校を増やす方針だ。