時事通信配信記事 2009年11月12日付

大学情報の公表義務化を=中教審検討


大学からの情報発信を充実させるため、国の中央教育審議会が授業内容、教員紹介などの公表を義務付ける方向で議論している。公表をためらう大学が少なくなかった入試情報、就職率、中退率も対象になりそうだ。文部科学省は、中教審の了承が得られれば大学設置基準を改正し、2011年度から義務化したい考えだ。

中教審は、公表情報・指標を大学間で比較できるデータベース(DB)の構築についても検討。進学希望者、海外からの留学希望者らが大学を選びやすくなる一方、大学側では教育内容の改善が進むと期待される。

同省は既に、中教審の部会に「教育」「学生」など五つの分野別に公表事項をまとめた案を提示。教育分野では▽授業科目別の年間計画▽担当教員の名前・実績▽卒業認定基準―などを挙げた。

学生分野では▽在学者数▽定員▽就職・進学率▽中退率―などの事項を列記した。実現すれば、定員割れの状況も把握できる。

入試については、学部、学科別の募集枠ごとや、推薦、AO、一般入試などの方式ごとに受験・合格・入学者数を出させることを想定。大学の選抜姿勢がうかがえるようになる。

07年度の文科省の調査では、国公私立大学のうち、ホームページで学部・学科別学生数を公表していたのは55%。在学者総数は62%、合格者、入学者などの人数は64%にとどまった。

同省によると、米、英、韓国では政府などが大学情報を集約したDBを整備。インターネットで閲覧でき、進学希望者らが活用しているという。