『中日新聞』長野版2009年11月5日付

県と信州大、産学官連携強化へ


県と信州大は4日、互いの人材や知的資源などを有効に活用するため、包括的な連携協定を結ぶことを明らかにした。両者はすでにナノテクノロジー(超微細技術)を生かした産業振興など多くの事業で協力しているが、県の中長期的な計画立案での助言といった幅広い分野で組織的な連携を強化する。村井仁知事と山沢清人学長が10日、県庁で調印式を行う。

県と信州大は、これまで以上に産学官連携を強める狙い。教授や職員間といった個人的なつながりが主だった関係から、組織同士の協力関係を明確にする。協定締結後は、すでに協力している各事業の評価などを通じて、次世代産業の振興に向けた全体計画を定めていく。

県側には、観光などこれまで連携が手薄だった分野での協力を得られるとの思惑もある。信州大側は、県との協力を密接にすることで、国の補助などを受けた大型プロジェクトに取り組む可能性を広げたい考え。

信州大研究推進部の担当職員は「交流人口の増加による地域活性化や、産業廃棄物の利活用など、幅広い分野で協力できるのではないか」と期待している。

県企画課によると、協定締結は信州大側が打診した。県が包括的な連携協定を結ぶのは、中日本高速道路と東日本高速道路、コンビニ3社に続き6番目。大学では初の包括連携協定になる。

(大平樹)