『西日本新聞』2009年10月24日付

九大伊都地区 留学生宿舎建設を停止 政府の補正予算見直しで


政府の2009年度補正予算の見直しで、九州大学が伊都キャンパス(福岡市西区など)内に計画していた留学生宿舎2棟(580室)の整備予算32億4000万円の執行が停止され、本年度に着工して10年度中に完成する計画が白紙となったことが分かった。新政権誕生のあおりを受けた形で、九大は「伊都キャンパス周辺は民間の学生向けアパートが少なく、早く完成させたいのだが」と困惑している。

九大によると、宿舎建設は留学生を増やしていく方針や、民間アパートの不足を受けて計画。「伊都国際村」のコンセプトに基づき、日本人学生の入居もできる。鉄筋コンクリート10階建てで、1人部屋(550室)と夫婦用居室(30室)の2種類を備える。

文部科学省は前政権時代、設計と整備を合わせた予算を09年度補正予算に組み込んでいた。ところが、9月に鳩山由紀夫首相が「国立大学法人などの施設整備費も執行停止の対象に」と指示したことを受け、文科省が同24日、発注していない整備分の執行停止を九大に通知してきたという。設計分は、すでに契約が完了していた。

文科省の執行停止額は、全体で3387億円。九大は「国全体の動きなので従わざるを得ない。19年度を予定する(箱崎キャンパスからの)移転完了や入学者数への影響はないと思うが、留学生宿舎は大学の発展に必要」としており、編成される場合は10年度補正予算に、遅くとも11年度の概算要求で予算復活を目指すとしている。