共同通信配信記事 2009年10月29日付

大学病院、5年連続半数割れ 地域格差も浮き彫り


来春医師になる大学生ら7875人の臨床研修病院を決める「マッチング」結果が29日公表された。大学病院が3916人(49・7%)、民間や自治体などが運営する市中病院が3959人(50・3%)で、大学病院の比率は前年(49・1%)より上昇したものの5年連続で半数を割り込んだ。

募集定員に対して確保できた学生の割合(充足率)を都道府県別にみると、トップは東京の92・0%で、次いで神奈川の89・0%。都市部の病院が依然として高い人気を維持している一方、昨年39・2%と全国最下位だった富山が59・2%へと大幅アップ。しかし鳥取(36・7%)と島根(31・0%)が3割台にとどまるなど、地域格差があらためて浮き彫りになった。

臨床研修をめぐっては国が5月、(1)都道府県や病院ごとの募集定員を設定(2)地域への医師派遣機能を持つ大学病院などの定員枠を優遇−するなど制度を見直した。

厚生労働省は「偏在解消には至っていないが、大学病院や都市部以外の病院で人員が増加に転じており、制度改正による一定の効果は見受けられる」としている。