共同通信配信記事 2009年10月23日付

132億円は滞納者が住所不明 奨学金返済で会計検査院指摘


独立行政法人「日本学生支援機構」(旧日本育英会)が大学生らに貸与した奨学金の返済状況を会計検査院が調べた結果、住所を確認できない滞納者の未返済分が少なくとも約132億8千万円に上ることが23日、分かった。検査院は、大学との連携を強めるなど住所不明者の調査体制を整備するよう改善を求めた。

検査院によると、奨学金は2007年度末、貸与残高が約5兆2009億9千万円。うち3カ月以上も返済されず貸し倒れの可能性がある延滞債権が約21万4千件、約2252億5千万円で、1999年度に比べ2倍以上に増えた。

3カ月以上の延滞債権のうち、住所不明者の分は約1万3千件で約132億8千万円。就職や転勤による転居届の提出がなかった上、追跡調査をせず、そのままになっていた。

届け出があり、住所を確認できていたケースでも、07年度に回収業者に委託した約8千件の6割が連絡を取れず、支払い督促書を送った約3万5千件では、うち1269件があて先不明で返送され、新たな住所不明者として浮かび上がった。

さらに07年度末に貸与が終わった利用者に対し、07年8月に「返還開始のお知らせ」を返還誓約書に記された住所に送付したところ、約23万1千件のうち1464件があて先不明で戻ってきた。