『読売新聞』三重版2009年10月21日付

三重大産学連携研究機関
津中心街へ来年移設参加企業の拡大目指す


三重大が設置した産学連携研究機関「野村証券・百五銀行・創業革新プロジェクト研究室」の発足1周年記念シンポジウムが20日、津市大門の津センターパレスで開かれ、同大は来年、同機関をセンターパレスに移設する計画を発表した。県都の中心街へ移すことで、参加企業を増やすのが狙い。事業の第1弾として県内2社が支援対象企業に選ばれており、関係者は「地域活性化の起爆剤となれば」と期待を込めている。(加藤雅浩)

同機関は、大学と民間企業が手を携え、地元企業などを支援するのが目的。〈1〉企業経営や研究開発マネジメントを通じ、実効性の高い支援体制を確立させる〈2〉博士号を取得した人の中から、ビジネス界で活躍できる人材を育成する――などの事業を手がける。野村証券や百五銀行が資金提供や人材を派遣し、三重大が博士号を取得しながら就職先が決まらない学生を集めたり、研究分野でサポートをしたりして支援に当たる。

支援対象の2社のうち、松阪市の製油会社が三重大内に設立した子会社は今月、純度の高い肌の保湿成分「セラミド」を配合した化粧品の販売にこぎ着けた。三重大が有効性についての“お墨付き”を与えることで商品のブランド力も高めたという。

シンポジウムで、同大の西村訓弘学長補佐は「プロジェクトを通じて、いかに企業の成長を達成させるかが大事だ」と語った。野村証券から同機関に派遣されている山本修司さんは「いずれは支援企業が株式公開できるまでに成長してくれれば」と夢を膨らませている。