『大阪日日新聞』2009年10月15日付

看護師686人に1億4350万支払い 大阪市大病院


大阪市立大医学部付属病院(同市阿倍野区)は14日、2008年4月から11月にかけて看護師686人に対して未払いだった約6万7千時間分の超過勤務手当(総額約1億4350万円)について、すでに支給した分を含め16日支給の給与で全員への清算が完了すると発表した。同病院は看護師の自己学習の時間を慣例的に超勤として認めておらず、08年12月に大阪南労働基準監督署から是正指導を受けていた。

同病院運営本部によると、同年11、12月に行われた同労基署の立ち入り検査で、看護師の労働実態が、上司による超勤命令書に記載された超勤時間と、タイムカードに当たるICカードによる出退勤管理システムの時間が異なることが判明。

調査の結果、主に新規採用看護師が勤務終了後に技術習得のために行う自己学習を超勤として認めておらず、患者への対応が長引くなどして命令書に記載した時間をオーバーした場合も、時間を書き直していないケースが見つかった。

08年4〜11月に最大382時間の超過勤務があった看護師もいたという。今年5月で190人に支給済みで、残りの看護師には10月の給与で支給する。

同病院は07年度以前も同様の実態があったことを認めたが、事実確認が難しいとして、さかのぼっての清算はしない考え。同病院運営本部庶務課は「(労基署の)指摘と調査内容を真摯(しんし)に受け止め、超勤を命じる看護師長の意識改革のための研修や、出退勤システムの更新を検討する」としている。