http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/kokuritu/gijiroku/1284906.htm

国立大学法人評価委員会(第28回) 議事録

1.日時

平成21年5月27日(水曜日)15時から17時

2.場所

三田共用会議所3F大会議室B〜E

3.議題

中期目標期間評価の確定について
第2期中期目標期間における評価について
国立大学法人等の組織・業務全般の見直しについて
その他
4.出席者

委員

野依委員長、飯吉委員長代理、荒川委員、池端委員、勝方委員、後藤委員、寺島委員、鳥居委員、南雲委員、宮内委員、宮原委員、舘臨時委員、和田臨時委員
文部科学省

コ永高等教育局長、布村文教施設企画部長、久保高等教育局担当審議官、戸谷高等教育局担当審議官、倉持研究振興局担当審議官、岡技術参事官、藤原会計課長、永山国立大学法人支援課長、新木医学教育課長、小川計画課長、蝦名国立大学法人支援課企画官、大西国立大学法人評価委員会室長、堀教員養成企画室長、武藤学術機関課専門官
オブザーバー

川口理事(独立行政法人 大学評価・学位授与機構)
5.議事録

(略)

【寺島委員】  ちょっと中座しなきゃいけないので、一言発言させていただきます。

 私、ここに書かれている組織、業務全般の見直しについてという文書化した流れのことについては、どこを修正すべきだとかいう意見じゃないんですけれども、背景とすべき問題意識を確認したいという意味で申し上げるんですけど、この5月の初めにドイツでG8サミットの高度専門家会議というのがありまして、行ってきて、教育等にかかわるところに、深く考えるところがあって、ちょっと刺激を受けてきたんですけど、どういうことかというと、この第1期の中期目標期間というのが、ちょうど平成16年から21年度というのが2004年から2009年度ということで、わかりやすくいうと世界における一種の新自由主義なるものが吹き荒れていた時期を背景に、日本も法人化に踏み切り、大学というものはこういう方向へ持っていくべきだという1つの思い入れの中で、我々自身もその評価に参加してきて、ここの資料1−1にあるように、いわゆる中期目標期間の評価とか年度評価について、総括的にいえば、やっぱり法人化してよかったし、こういう評価制度を持ち込んできたことによって、大学におけるある種の改善の気風というか、流れが見えてきたことも確かだと思うから、それはそれで、そういう総括でポジティブだと思うんですね。

 ただ、世界が、要するにまさに今、経済の状況がそうであるように、極端な大きな構造転換を起こしていると。その前提として法人化を進めようとしたグローバル化なるものにしろ、産業界のニーズに基づいて教育も変えなきゃいけないと言っていたその問題意識の根底を、ちょっと省察を含めて考え直さなきゃいけない局面に来ていると思うんですよ。2期の6年間、来年度どうするという程度の話だったらいいんだけど、やっぱり6年間どうするというときに、ここに何もだらだら書く必要はないけれども、強く、我々自身が評価の基本視点として、第1期の評価の中で反省し、変えなきゃいけない部分があるんじゃないかと。

 例えばの話がというと、実際に評価に、思い出しながら語っているわけですが、科研費的なもので大学というものを見ていく視点だとか、経営の効率化ということですね。数値化してあれしてきたけれども、さて、そういう方法論だけでよかったのか。まさにそこにも指摘されていますけど、法科大学院だのMBAだのを充実させることが高等教育の充実だと思って踏み込んでいったけれども、現実問題としてそこでつくり出した人材というものがそんなに時代とか産業界のニーズに合ったものなのかというと、やっぱり反省したり変えていったりしていかなきゃいけない部分も見えてきていると。

 個性重視というけど、第2期において、僕はほんとうに考えますけど、留学生30万人計画なんていうのを一方でやっていて、ほんとうの意味でのグローバル化というか、だからこんなところでそういうことを言うのも何ですけど、米国流の金融資本主義の世界化をグローバル化だと思って進めていった流れから、G20だの、まさに全員参加のようなグローバル化の中で、ほんとうに近隣の国々から30万人の留学生を集めて、その留学生の中に日本人の学生を置いて、真に国際的な視界を持った人間を育てるなんていう局面に一歩踏み込まなきゃいけなくなっているわけですよね。

 さらに人間教育といったって、ほんとうに一人っ子過保護の、僕も最近大学に深くかかわり始めてほんとうに感じますけれども、縦横の人間関係がほとんどわからない一人っ子で育ってきた人たちに、大学という機関を通じて社会との関係性だとか人間としての持つ価値だとかいうものをやはり共有させていくような機会をつくっていかなきゃいけないんだなということを実感するんですけど、そういう意味も含めて、何やら競争主義、市場主義の徹底と、その中で世界で勝ち抜ける大学をつくるんだという思いで踏み込んだ部分は大変結構なんだけれども、もう一回、第1期の背景にあった基本思想というものを、もちろんマイナス部分ばかりじゃないですよ。ポジティブな意味ももちろんわかった意味上でなんですけれども、考え直して、これからの6年というところには相当なやっぱり、背景にある問題意識において、例えば評価する側の委員もこれから大学と実際に現場で向き合うんですけれども、そういう問題意識をしっかり持ってないとまずいんじゃないかなという気がして、特に今、欧州もそういう意識での人間教育みたいなことをやたらに言い始めているので、ああ、そういうことなのかなと思ったもんですから発言させていただいたということでございます。

(略)

高等教育局国立大学法人支援課国立大学法人評価委員会室