『朝日新聞』新潟版2009年10月8日付

新大、釜山大と協定へ


新潟大学法科大学院は、韓国・釜山大学法科大学院と教員の交流などを進める協定を結ぶ。韓国でも新たな裁判制度の導入に伴い、「法科大学院」制度がスタートした。教員同士の交流を通じて指導方法や教育実態を共有し、教育の質を高めて優れた法律家を養成するのが狙いだ。新潟大は、9月に教員が北海学園大法科大学院(札幌市)で出張授業を行う交流に乗り出しており、将来的には3大学の連携も視野に入れている。
(大内奏)

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交流協定を結ぶのは今月17日。釜山大の研究科長らが新潟大を訪れて調印し、調印後、ミニシンポジウムを開く。両国の民法教育や、大学で法律を学んでいない未修者向けの教育について報告、意見交換する。今後も教員同士の交流を続け、互いの教育成果を共有するという。

韓国も司法制度改革が進められ、日本より一足先に一般市民が刑事裁判に参加する「国民参与裁判制度」が始まった。法律家養成の仕組みも変わり、今年3月には法科大学院制度が始まった。1月に新潟大法科大学院の本間一也・研究科長らが釜山大を訪れた際、「日本の法科大学院とは実質的な交流がなく、実態を知りたい」と持ちかけられた。釜山大側は未修者の教育方法や司法試験合格者数の問題などについて関心を持っているという。

韓国は法科大学院の設置数や入学定員を絞り、未修者向けの教育に国家的に取り組んでいるという。

釜山大はソウル大に次ぐ格式ある国立大学で、法科大学院の入学定員は120人と大規模だが、地方にあるため新潟大との共通点も多い。本間研究科長は「韓国は後発だが、日本の失敗を学んでいる。こちらは日本より組織的、長期的に取り組む未修者教育について知りたい」と話す。

新潟大は国内の法科大学院との連携に乗り出している。今年6月には北海学園大の関係者と今後の方針を協議。9月には新潟大の四ツ谷有喜・准教授が北海学園大で民法の出張授業を開いた。同大の教員も聴講し、意見交換した。12月には未修者教育用の教材について話し合うという。

北海学園大の丸山浩研究科長は「お互いにアイデアを出し合い、教育方法のヒントを見つけたい」と期待を込める。本間研究科長は「将来的には3大学が連携し、両国の法曹養成制度についても研究していきたい」と話している。