『福井新聞』2009年9月30日付

医師不足で福井大医学科増員へ 県が奨学金拡充


福井県内の医師不足に対応するため、県は2008年度に創設した奨学金制度「県医師確保修学資金」の貸与人数を拡充し、10年度入試から福井大医学部医学科の定員を5人程度増やす方針を決めた。福井大や国と今後具体的な協議を進める。

国は今年7月、都道府県が貸与する奨学金の対象者が卒業後に地域で勤務することを前提に、10年度から10年間をめどとして、各都道府県にある大学医学部の定員増員を認める方針を示した。これを受けて、県、福井大は厚生労働省や文部科学省に10年度の増員を近く申請。全国の状況を踏まえた審査の上で12月に正式な増員数が決まる。その後、県は来年度の当初予算で必要な予算措置を行う予定。

福井大は県が創設した奨学金に基づき、本年度の医学科推薦入試で「福井健康推進枠」を新設し、定員5人以内で募集した。合格後に県の奨学金に応募することが条件で、卒業後に県内の指定医療機関で9年間勤務すると返還が免除される。県外高校の出身者も対象で、本年度は県外出身者4人、県内出身者1人が合格した。

福井大は既に10年度の推薦入試の募集要項を発表し、同推進枠の定員は本年度と同じ5人以内としたため、今回の増員分は、一般入試での受け入れを検討している。

医師確保に関しては、福井大は08年度から、県内高校出身者を対象に、県内で医師になる意思があるか、嶺南医療振興財団の医学生奨学金に応募する人を受け入れる「地域枠」も設けている。推薦、一般入試を合わせた本年度の募集総定員は105人だった。

県医務薬務課は「民主党はマニフェストで医学部定員を1・5倍にするとしており、政権交代でも国の方針に大きな変更はないのではないか」とみており、今後も福井大などと連携して医師確保に努める考え。

全国の大学の医学部定員について政府は、医療費抑制などを理由に1981年度の8280人をピークに抑制方針を続けていたが、医師不足の深刻化を受けて08年度から拡充に転じている。