『下野新聞』2009年10月1日付

鳥獣被害解消へ連携 県と宇大、農工大が協定


福田富一知事は30日、宇都宮大の進村武男学長、東京農工大の小畑秀文学長と鳥獣被害解消のための協定を結んだ。県環境森林部によると、野生動物管理の分野で複数の大学が参加し協定を結ぶのは初めてという。

両大学は野生動物の研究で蓄積があり、大学院を共同で20年間運営している縁もある。両大学は問題解決のための研究を連携して進め、県はその成果を施策に生かす。また、宇大は野生鳥獣の保護管理を担う人材の養成を県と共同で進める。

県内で鳥獣による農産物や森林資源などに対する被害金額は毎年億単位に及んでいる。2005年度までは3億円台だったが、06年度に5・5億円に増加。07年度5・2億円、08年度4・1億円と推移している。

県と両大学が締結したのは「野生動物管理のための研究推進に関する包括連携協定」。両大学は本年度から3年間、県内の調査地で生態学と社会科学を融合した研究を行う。

県と宇大は人材養成に関する協定も結んだ。同大が7月に設置した里山科学センターで、専門技術者の地域鳥獣管理士を5年間で60人養成する。養成プログラム第1期生15人程度を16日まで募集。講義を23日から始める。

この日の調印式で福田知事は「イノシシの農業被害が近年顕著で対策は喫緊の課題。人材育成と研究成果の活用で対策を進めたい」と期待を示した。