『毎日新聞』宮崎版2009年9月29日付

宮崎大:「総合医」養成へ 地域医師不足解消に期待


宮崎大学医学部は10年度から、幅広い疾患の診療に対応でき、医師不足の解消にもつながる「総合医」の養成を本格化させる。準備段階として今春、地域医療連携室を設立しており、来年度には独立した講座に格上げ、医師派遣を始める計画だ。県や県医師会の財政支援による寄付講座での運営も検討されている。【石田宗久】

04年度に導入された新医師臨床研修制度による医師の都市偏在や、医療の高度・専門化のため地域で深刻化する医師不足への解消が狙い。宮大が目指す総合医は、内科や外科、救急などを初期段階で幅広く、住民に近い地域医療の現場で担う。

必要に応じて大学病院などの高度医療機関とも連携。所属医師は地域の医療機関と大学を定期的に行き来できるようにして研究、キャリアアップできる。産休明けの女性医師の現場復帰支援にも柔軟に対応。結果的に県内の医師数増につなげたい考えだ。

地域医療連携室にはまず特任教授ら2人を配置し、学生向けのセミナーを不定期で開催。来年度以降、一定期間のへき地勤務を終えた自治医科大出身医師や、宮大医学部の地域枠推薦で学び、卒業した若手医師らの受け入れを進める。

池ノ上克医学部長は「『調子が悪い』と訪れる住民を総合的に診療でき、地域で活躍する医師を育てたい」と話している。