『毎日新聞』2009年9月19日付夕刊

最先端研究開発支援プログラム:支給対象者、再検討へ−−鈴木副文科相


◇「選考プロセス、拙速」

2700億円の研究費を30人の研究者に配分する「最先端研究開発支援プログラム」について、鈴木寛・副文部科学相は19日未明の会見で、支給対象者の再検討も含め見直すことを明らかにした。

このプログラムは09年度補正予算で計約4・3兆円を計上した46基金の一つ。総選挙後の9月に麻生政権が、ノーベル賞受賞者の田中耕一・島津製作所フェローや人工多能性幹細胞(iPS細胞)を開発した山中伸弥・京都大教授などの支給対象者30人を公表した。岡田克也・民主党幹事長(当時)は「この時期に決まることに違和感を覚えないわけではない。凍結も当然ある」と話していた。

鈴木副文科相は「2700億円という額以上に、支給対象者の選考プロセスに問題がある」と指摘。「麻生首相の『とにかく早くやれ』という指示で、十分議論のないまま、荒っぽい方法で選考された。30人という人数を含めて再検討したい」と話した。今後、川端達夫文科相、科学技術担当相を兼務する菅直人副総理・国家戦略担当相を中心に精査するという。

一方、川端文科相は18日、09年度補正予算の一部を執行停止する方針が閣議決定されたことを受け、文科省分の補正予算全項目を見直し、改善策を提案するよう坂田東一事務次官に指示した。国立メディア芸術総合センター(仮称)の設立費(117億円)、学校耐震化や太陽光パネル設置などのエコ改修、電子黒板整備などを含む「スクール・ニューディール構想」(4881億円)などは、重点見直し項目に挙げられた。【奥野敦史、加藤隆寛】