『毎日新聞』2009年9月15日付

大学教員:研究時間、6年前より2割減 講演、学生指導…「社会還元」に時間割き


大学の教員が研究にあてる時間が07年度は、6年前に比べて約2割減ったことが文部科学省の調査で分かった。「成果の社会還元」が教育、研究に次ぐ第3の使命とされた教育基本法改正などの影響で、講演や審議会出席などの社会貢献や、学生の指導に割く時間が増えたためだという。

調査は研究開発に投入された人的資源を調べるため、5〜10年ごとに実施している。08年11〜12月、国内の大学の教員、博士課程在籍者ら計1万1749人に平均的な1日の勤務内容や年間休日数、論文発表数などを尋ね、7050人から回答を得た。

その結果、大学教員では前回調査の01年度には勤務時間の46・5%を自分の研究にあてていたが、今回は36・2%に減っていた。教育や社会貢献にかける時間は2〜3割増えた。

博士課程在籍者でも自分の研究にあてる時間の割合が、前回の70・9%から65・9%に減った。大学院生への支援を目的とした賃金がもらえる教育や研究の補助役の業務が普及したためとみている。

文部科学省の佐藤明生・調査調整課長は「研究時間が減少したからといって、論文発表数などの成果が著しく下がったというわけではなく、一概に可否は言えない」と話した。【西川拓】