『京都新聞』2009年9月16日付

5年間 自由な研究環境
京大、若手育成プロジェクト始動


京都大は15日、次世代を担う研究者の育成に向け、世界の若手研究者を最長5年間雇用して自由な研究環境を提供する「白眉(はくび)プロジェクト」を本年度から始める、と発表した。中国の故事にちなみ、学内外の有識者でつくる選考委員会「伯楽会議」が、将来世界をリードする人材「白眉」を獲得していく。

研究分野を問わず、博士学位を取得した研究者を毎年最大20人ずつ雇用し、研究費を最大で年間400万円、給与を月額40〜65万円支給する。大学独自の予算で運営し、採用者が100人に達した段階での予算規模は年間10億円を想定する。

研究に専念できるよう、全員を新設する次世代研究者育成センターの所属とし、各部局の教育・管理業務に携わる必要がないようにする。また、成果だけにとらわれず腰を据えて研究活動ができるよう、毎年度の研究報告や任期終了時の成果発表を除き、大学による中間評価は行わない。

本年度は16日から公募を開始し、書類選考と伯楽会議による面接を経て、来年1月までに採用者を決める。

松本紘総長は「自発的で創造的な研究ができる人材を慎重に選びたい。5年の雇用期間中に、優秀な人は学内外への就職が決まるだろう」と話している。