『産経新聞』2009年9月7日付

大学・企業共同研究 5年で倍増1万7638件


大学と企業が連携し先端技術や農産物などを開発する共同研究が、平成20年度に1万7638件と、最高になったことが文部科学省の調査で分かった。最近5年間でほぼ倍増した。地方の大学と地元企業が組むケースも定着し始めており、厳しさを増す地域経済のてこ入れ策としても活用されつつある。

同省によると、大学や短大、高専で行われた共同研究は、15年度は9255件だったが、毎年右肩上がりで増加。20年度は計356校で実施。研究件数の1、2位は東大、京大が占めたが、上位30校には北海道や東北、信州、広島など地方の大学も名を連ねた。

共同研究の中には、大学と地元企業が組んで、玄米粉を使ったクロワッサンの開発(岩手大)や、長期入院の小児患者ら向けの遠隔通信システム(島根大)など、実用化される例も出ている。

ただ、研究相手に中小企業が占める割合は、まだ2割程度。文科省は「地方の大学が大企業と組もうとする傾向もある」とし、自治体が大学と地元企業を橋渡しするなど地域の連携強化が課題だ。