『長崎新聞』2009年9月2日付

NICU集約調整難航 長崎大学病院と市民病院、病床不足など課題


長崎大学病院に長崎市立市民病院の新生児集中治療室(NICU)を集約する構想の調整が難航している。8月31日に長崎市内で両病院の医師や開業医らが協議し、集約しても不足する病床への対応や、産科医の集約といった課題が明らかになった。

長崎市内のNICUは大学病院と市民病院だけにあり、両病院は限られた新生児専門医を有効活用するため、NICUを集約する方向で大筋了承していた。

協議では、大学病院が2012年度までにNICU6床、継続保育室(GCU)18床の計24床を整備する計画を説明。これに対し地元医師会が、現状も両病院合わせてNICUなどが24床しかなく、開業医からの搬送を断るケースがあるとして、大学の計画では病床が不足する可能性を指摘した。

大学病院は13年度以降にNICUとGCUを計30床以上に拡張するまでの措置として、13年度の市民病院建て替え時に一般小児科医で対応できる9床程度を設置するよう要望。市民病院は「それでは集約化の意味がない。(9床は)混合病棟に組み込まれ、周囲に医療スタッフがいない時間ができて危険」と拒否する意向を示した。

市民病院建て替え時にNICUとGCU計24床を整備するよう求める意見もあったが、病院側は医師確保の困難さや採算性の悪さを理由に「難しい」とした。

また大学病院産婦人科は、NICU集約に伴い母体搬送が集中するため産科医の集約も必要になり、「市民病院などに派遣している医師を大学に戻さなければならない」と説明した。