『中日新聞』福井版2009年8月27日付

駅西に原子力研究拠点 敦賀市、工学や放射線医療


敦賀市は26日開かれた市議会全員協議会で、JR敦賀駅西地区に建設する原子力研究拠点施設の概要を明らかにした。高性能燃料の開発や高速増殖炉の実用化研究など原子力工学を中心に幅広い研究を行う。本年度に実施設計を行い、来年度に着工、2011年度の完成を目指す。

4月に福井市に開所した福井大付属国際原子力工学研究所を移転する形で建設し、名称も同じにする。原子力の研究関連施設としては、若狭湾エネルギー研究センターに次いで市内で2カ所目。

建物は鉄筋コンクリート5階建てで、一部平屋。敷地面積約2100平方メートル、延べ床面積約6700平方メートル。土地区画整理に伴い、JR西日本が所有する同市鉄輪町1丁目の駐車場を市が買い取って建設。事業費は市のエネルギー拠点化計画推進基金を充て、20億円以内としたい考え。

平屋建て部分には市民向けの講義室や展示ホール、5階建て部分には実験室や研究室、教員室を設ける方向。原子力工学などを研究する各地の大学研究者や大学院生、原子力関連産業の技術者らが利用し、原子力災害時の防災対策や放射線医療などの研究も行う。県内では福井工大の参加も決定している。

施設の詳細は実施設計で詰め、市は9月定例会に同設計費5100万円を提案する。

全員協議会では、河瀬一治市長などが説明し、河瀬市長は「地域に開かれた研究所を目指し、将来に向け大きく育てていきたい」と意気込みを述べた。議員からは財源、施設の安全面などについて質問が出された。

(安福晋一郎)