『河北新報』2009年8月28日付

大学講義受け単位“予約” 秋田大、高校生対象に新制度


秋田大は本年度、高校生を対象に「単位取得予約型授業」を始めた。単位を取った高校生が卒業後、同大に進学すれば、入学と同時に単位が認められる制度で、東北の大学では初の試みという。魅力ある授業を通して低迷する秋田県の大学進学率を向上させるとともに、将来の学生を確保するのが目的。前期の1科目が既に終了、後期の2科目は10、11の両月にそれぞれ開講する。

秋田大や県立大、国際教養大など秋田市内にある大学、短大、高専8校が2008年度から3カ年計画で進める文部科学省の連携支援事業の一環。秋田を知り考える秋田戦略学をテーマに、各校の教員が授業を担当する。受け入れ態勢が整った秋田大がまず先行した。

授業は、教養教育科目に組み込まれた大学の選択科目(1単位)。初の授業となった前期の「生命科学への招待」では、工学資源学部の伊藤英晃教授が担当。6月から7月まで金曜日の夜、計8回行われた。受講を希望した1〜3年の高校生14人が、大学生約10人と一緒に学び、最終日には試験を受けた。10月に単位認定される見通し。

高大連携授業について、参加した高校生からは「ためになった」「難しい大学の講義内容を丁寧に解説してもらった」などの感想が寄せられ、おおむね好評だったという。

秋田大の事務局では、「勉学意欲を喚起できたと思う」と手応えを感じている。
 後期は、「バリアフリー・環境」「地域理解と活性化」の2科目。それぞれ秋田の課題や解決の方策などを探る。ともに計8回の講義が予定され、高校生にとっても興味深い内容となっている。

現状では秋田大だけの実施のため、高校生にとって単位の取得は同大入学に限ってしか保証されない。このため来年度以降、他の大学などでも導入を目指し、受け入れ態勢を整備する。また、秋田市以外の受講生が利用しやすいように、インターネットを使った遠隔授業の計画も進められている。

文科省の学校基本調査によると、今春の短大・大学への進学率は全国平均53.9%。秋田県は43.9%と、低水準にとどまっている。