『読売新聞』富山版2009年8月25日付

富山大大学院設置申請取り下げ 文科省審議会が課題指摘


富山大学が2010年度を目指していた文系大学院設置について、文科省への申請を取り下げていたことが24日、わかった。同省諮問機関の大学設置・学校法人審議会で、設置計画について、課題が挙げられたためで、同省によると、国立大が設置申請を取り下げるのは、全国で法人化が始まった2004年度以降初めて。

設置申請が出ていたのは、人文、経済、人間発達科学、芸術文化の各分野を学ぶ「大学院人間総合科学教育部」。同大は5月に申請したが、7月の審議会を経て、8月上旬に取り下げを文科省に伝えた。

同大によると、大学院では、人文系の幅広い分野を横断的に研究することを目指している。審議会からは、教員の数や研究内容との整合性、設置の趣旨について、議論が不足している点などが指摘されたという。今後、課題を改善した上で、来年度に再申請する予定。

同大は05年に富山医薬大、高岡短大と統合、法人化後、最初の09年度卒業生が進学できるよう新たな大学院設置を進めてきた。先送りになったことで、卒業生は、現行の大学院に進学することになる。

佐藤幸男・同大副学長は、「今後、時間をかけて計画を練り、より良い大学院を作りたい」としている。