『日刊工業新聞』2009年8月25日付

東工大、“一挙両得”で人件費圧縮−研究専念の非常勤に転換


東京工業大学は研究面で優れた業績を挙げているエース級の教授が研究に専念し、併せて大学の人件費負担を減らす新人事制度を始めた。教授の雇用形態を、削減が進む国の運営費交付金による常勤教員ではなく、外部資金による非常勤教員に転換するが、収入など不利益が生じないよう工夫をした。この結果、著名な教授ら6人が立候補し、“人員整理”とは異なる魅力的な手法として認識され始めた。

国立大の通常の教員(常勤教員)は教育・研究のほか、入試監督など各種委員会や学内管理も義務となっている。人件費の原資は運営費交付金に限られるが、その交付金は削減が続いている。

一方、非常勤教員は研究に専念することが可能だが、雇用条件は常勤教員に比べて大きく劣る。人件費原資には外部資金が活用できる。東工大は産学共同研究や国の研究資金など外部資金が潤沢で、この形の雇用を増やしたいと考えた。