『京都新聞』2009年8月20日付

低炭素革命 研究拠点に
京都工維大 温暖化防止推進へ


京都工芸繊維大(京都市左京区)は20日までに、地球温暖化を防ぐ低炭素社会実現のための教育研究プロジェクトを全学的に推進することを決めた。石油由来のプラスチックなどを代替する植物由来のバイオマテリアルを研究開発する日本初の大学院新専攻を来春開設するなど、「低炭素化革命」の拠点を目指す。

■来春 大学院に新専攻

工繊大は2001年に国際環境規格「ISO14001」の認証を取得するなど教育研究で環境を重視してきた。このほど、文部科学省「教育研究高度化のための支援体制整備事業」の採択を受け、教育研究体制を刷新する。

木村良晴教授らを中心に世界最先端の成果を出しているバイオマテリアルの研究を加速するため、大学院に日本初の「バイオベースマテリアル学専攻」を来春新設する方針を決め、文科省に設置認可を申請した。植物由来による高い安全性や環境負荷の少ない生分解性などの特色を生かし、産学協同で実用化を進める。

さらに、砂漠の緑化に役立つ植物の開発や昆虫を研究素材とする生命科学研究の推進など、さまざまな分野から低炭素社会の実現に向けた教育研究に取り組んでいく。知的財産や国内外の研究事情に詳しい実務者を支援総括部門に招くとともに、若手研究者や研究支援スタッフを大学に迎え、環境分野で21世紀の日本を担う産業を育てる。

竹永睦生理事・副学長は「石油はいつかは枯渇し、植物で作るしか道がなくなる。高性能の素材を開発し世界をリードしていきたい」と話している。