『毎日新聞』2009年8月11日付

基礎科学力強化総合戦略:文科省が発表


日本の基礎科学進展のため文部科学省は、資金の拡充や人材育成などさまざまな施策をまとめた「基礎科学力強化総合戦略」を発表した。

有識者による「基礎科学力強化委員会」(座長、野依良治・理化学研究所理事長)が今月まとめた「基礎科学力強化に向けた提言」の中で「世界水準をしのぐ基礎科学力なくして、我が国の未来はないが、現状は危機意識が希薄」と厳しく指摘。人材育成▽研究費などの公的資金拡充▽世界トップの拠点形成など研究推進システムの強化−−の3点を求めた。

これを受けて戦略は「社会総がかりで取り組む」との基本姿勢を打ち出した。内容は小学校の理科教育から、最先端の研究者支援まで多岐にわたる。

具体的には、来年度予算の概算要求に11の新規事業を盛り込む。非常に高い潜在能力を持った基礎科学研究者に、最長10年間研究を支援する新事業では、1人年間5億円程度の研究費を支給する方針。また、大学院生の経済支援と教育をリンクさせ、博士課程の大学院生らを、研究費で雇用して研究に参加させる制度などを新設するという。