『長崎新聞』2009年8月12日付

長崎大、特許収入で全国6位 独製薬会社との契約など要因


長崎大が民間企業との共同研究などで得た「特許収入」が、全国の大学などの中で2008年度は6位(前年度は22位)に急伸したことが文部科学省の調査で分かった。収入増加の要因としてドイツ製薬会社との契約が挙がっており、知的財産の活用に期待が高まっている。

産学連携などの施策に関する企画、立案に反映させることを目的に、全国の大学などを対象に1983年から毎年実施。(1)民間企業などとの共同研究(2)受託研究(3)知的財産の創造・管理・活用(4)寄付金の収入(5)治験の収入−などの状況を調査している。

08年度は1112の大学などを対象に実施。「特許出願件数」の総数は9435件で前年度に比べ434件減少。企業などとの契約成立を示す「特許権の実施件数」は同比916件増の5306件、収入は同比27%増の約9億9千万円だった。

長崎大は04年の独立法人化から08年度までに特許権を245件所有。このうち08年度は実施件数が43件、収入が4434万5千円で、これまで最高の全国6位になった。同大は例年20位前後で、前年度の全国22位(20件、897万8千円)から大幅に順位を上げた。1位は東京大(1535件、1億8930万円)だった。

大学の知的財産を民間企業で実用化する仲介役となる技術移転機関「長崎TLO」(長崎市)は、収入増加の要因として昨年9月のドイツ製薬会社との契約を挙げる。同大大学院医歯薬学総合研究科の衛生化学研究室(中山守雄教授)が研究した有機化合物が、アルツハイマー病の早期診断を実現する可能性があると評価された。

長崎TLOの技術移転スペシャリストの梅津照彦さん(65)は「少資源国として知恵は財産。特許を介し世界に進出することで、地域活性化につながる」と話した。