『河北新報』2009年8月9日付

東北大が産科医不足解消に力 文科省事業採択


東北大は本年度、産科・新生児科などの医師不足解消を目指し、女性医師らの育児支援などを盛り込んだ「周産期医療若手・女性医師支援プロジェクト」に着手する。2013年度までの5年間で、医学生らに周産期医療分野を志望してもらうための研修の拡充、女性医師が仕事と育児を両立できる支援体制の強化などを図る。

事業は文部科学省の「周産期医療環境整備事業」に採択された。5年間の事業費は3億円で、研修施設整備などに充てられる。

主な事業は(1)産科臨床実習を拡充し、医学生のモチベーション喚起(2)病院内保育所(来年4月開所予定)で女性産科医・小児科医らの優先枠確保(3)短時間勤務を希望する女性産科医らのワークシェアリング実施(4)離職した女性医師向けにインターネットによる在宅再教育システムの構築(5)医師の負担を軽減する助産師・臨床検査技師との業務分担体制づくり―など。

保育所では専任保育士を雇用するほか、ワークシェアリング体制を構築するため、医師の勤務先となる東北大病院と地域の医療機関との調整を担うコーディネーターを配置する。

東北大によると、過去10年間で産科医は10%近く減少し、近年は医学部卒業後、産科に進む医師が全体の約4%にとどまっている。勤務実態の厳しさに加え、女性医師らの場合は出産・育児との両立が大きな課題となっていた。

東北大病院総務課は「女性医師が継続勤務できれば、男性医師にとってもプラスになる。性別を問わず、周産期医療で活躍できる人材の確保を目指す」と話している。