『岩手日報』2009年8月9日付

交付金減、募る危機感 岩手大法人化5年


国立大が国立大学法人となり5年が経過した。国からの運営費交付金は毎年1%削減され、その額は岩手大で年間約6500万円に上る。同大は光熱水道費の節約や退職教員の不補充などで支出を削減、企業との共同研究で外部資金獲得に努力している。しかし、大学間競争が激化し格差が拡大する中、「経済基盤が弱い地方の大学は窮地」と、危機感を募らせる。本県唯一の国立大学岩手大。その存在意義が今、問われている。(報道部・高橋宏昇)

同大の2008年度の水道使用量は04年度に比べ約34%、6万5千トン減の12万2千トンだった。漏水防止工事を進め、日ごろの節約を実行した成果だ。岩手大財務部の田中久仁彦財務企画課長は「灯油は15%、電気は2%と使用量が減った。全学挙げてのこまめな節約努力の結果」と強調する。

同大の09年度予算は135億3900万円。収入のうち運営費交付金が67億4千万円で約50%を占める。続いて授業料・入学検定料が34億8100万円、科学研究費補助金と産学連携などによる外部資金獲得は16億4500万円を見込んでいる。