『朝日新聞』2009年8月7日付

大学進学「2人に1人」時代に 不況で就職率は減少


4年制大学への進学率が09年春、50.2%と初めて半数を超えたことが6日、文部科学省の学校基本調査の速報値でわかった。少子化の一方で全体の定員が増えたことが背景にあり、この20年で倍になった計算だ。一方、昨秋来の不況で大学生の就職率は68.4%と6年ぶりに下がり、就職も進学もしていない人は8千人増の6万8千人、大学卒業者の12.1%を占めた。

調査は今年5月1日現在で、幼稚園から大学院まで、国公私立すべての学校を対象に実施した。

それによると、今春の4年制大学入学者は60万9千人(国立10万2千人、公立2万8千人、私立47万8千人)で、18歳人口に占める割合を示す進学率は前年比1.1ポイント増の50.2%。大学進学率は1969年15.4%、89年24.7%、99年38.2%と伸びてゆき、2人に1人が進学する時代に至った。

20年前に200万人を超えた18歳人口は少子化で減り続け、今春は121万人。一方、短大が相次いで4年制に改組したこともあって大学全体の定員は増え続け、志願者に対する入学者の割合は今春、91%に達した。表裏の関係で短大の進学率は減少傾向が続いており、今春は前年比0.3ポイント減の6.0%。ピークだった94年(13.2%)の半分以下になった。

一方、08年度に30日以上欠席した不登校の児童生徒は、小学校が2万3千人、中学校10万4千人。過去2年は増加が続いたが、今回は小学校で前年度比約5.3%減、中学校で1.1%減に。ただし、総数は小中で12万7千人に及び、依然として多い。

08年度の高校中退者は6万6千人で、比率は2.0%。「経済的理由」は3.3%で、その生徒の在学中の状況を今回初めて調べたところ、授業料の減免措置を受けていた生徒は3割、奨学金を受けていた生徒は1割にとどまっていた。

中退者をめぐっては、「今でも生活が苦しいのに、将来の負担増まで抱えられない」と奨学金をあえて受けずに辞める生徒が少なくないとされる。文科省は「授業料の減免制度をもっと周知し、さらなる支援策も検討する」としている。(上野創)