『日刊工業新聞』2009年8月7日付

博士課程、6年連続定員割れ−研究水準の低下懸念


修了者の就職難などが問題となっている大学院博士課程の志願者数が2009年度は延べ1万9667人にとどまり、入学定員を下回ったことが、文部科学省の学校基本調査で分かった。

数字の上では、大学や分野を選ばない限り希望者がすべて進学できる「全入時代」が6年連続で続く。修了者の質や研究水準の低下が懸念され、大学院改革が急がれる。

財団法人文教協会のまとめでは、同年度の博士課程の入学定員は前年度比1・5%増の2万3905人。延べ志願者数を定員で割った志願倍率は04年度から1倍を割り、09年度は0・82倍まで低迷した。実際の入学者数も2・3%減の1万5890人で、定員充足率は66・5%まで落ち込んだ。

一方、修士課程や専門職大学院を含めた大学院全体の学生数は0・5%増の26万3976人。社会人の割合は0・4ポイント増の20・8%まで拡大している。