『読売新聞』2009年8月4日付

国内屈指の昆虫標本120万点、愛媛大博物館が11月オープン


入館無料、研究紹介や社会教育期待

愛媛大学は、研究活動などで集めた鉱物や化石、昆虫などの実物標本や資料などを展示する博物館「愛媛大学ミュージアム」を11月に開設する。農学部が所蔵する国内屈指の昆虫標本約120万点もすべて収蔵し、一部を展示。一般に公開したうえ、入館無料とし、同大は「研究成果を発信するとともに、子どもたちが自然科学に興味を抱くきっかけになれば」としている。

松山市文京町の城北キャンパスの旧共通教育棟の1階部分(約1400平方メートル)を使用。常設展示は、地球内部や宇宙に関する研究成果や鉱物、化石が並ぶ「進化する宇宙と地球」▽昆虫標本や環境科学などを紹介する「生命の多様性」▽東アジアの古代鉄文化などを紹介する「人間の営み」▽「愛媛大学と愛媛の歴史」――の4分野に分類する。

目玉となる昆虫標本は、農学部の前身の県立農林専門学校に、昆虫分類学を専門とする石原保教授が着任した1945年以降、歴代教官や200人を超す学生による収集や、協力者の寄贈で集めたもの。戦前から収集している北海道大や九州大に次ぐ標本数を誇り、四国産の昆虫が充実し、よく分類・整理されているという。

全国の87国立大のうち、半数が博物館を持つが、四国では香川大に次ぐ規模で、地方大学が自力で設置した中では大規模だという。有料にしている大学もあるが、大学に親しんでもらおうと無料とした。

一般公開は11月14日からで、同大は、公開に向けて解説などのボランティアとして市民サポーターの募集も検討している。今後、様々な企画展を行う予定で、柳沢康信学長は「研究の紹介、標本展示などを通じた社会教育、学芸員資格の取得を目指す学生の実習の場など、様々な役割を果たせる」と期待している。

5日から2万点展示

同大は、昆虫標本のうち約2万点を展示する「昆虫展」を5〜9日に城北キャンパスの旧共通教育棟で開く。午前9時30分〜午後5時で、7、8両日は午後8時まで開催。無料。