『読売新聞』2009年8月3日付

全国初「国立大学病院の土地貸します」


病院の経営が、大学の独立法人化に伴う国からの交付金減少で厳しさを増していることから、群馬大学は、前橋市昭和町の医学部付属病院内の土地を民間事業者に貸し出すことを決めた。

賃貸収入が入るほか、その土地に事業者の負担でコンビニやレストランが入る施設を建設してもらうことで、サービス向上とともに経費削減も図る。同大によると、国立大学病院内の土地の民間への貸し出しは全国初めての試みという。

貸し出す土地は、これまで病院の施設があった約1000平方メートルで、現在は、施設の取り壊し作業中。2010年度から20年間の貸し出しを予定しており、同大は年間数百万円の収入を見込んでいる。

この土地にできる新施設の建設は、病院内の売店などのサービスを提供している財団法人「同愛会」(同市昭和町)が担うことが公募で決まった。2階建てを予定しており、患者から要望の多いレストランや理髪店を1階に入れ、2階には同大の研究施設などを設ける。9月頃までに詳細設計を行い、年内に着工、来年夏までには完成させて利用できるようにするという。

国立大学付属病院長会議の07年度分の調査によると、全国にある45の国立大学付属病院のうち、28病院が赤字だった。同大も07、08年度と2年連続で数億円の赤字だといい、山口正・同大昭和地区事務部長は、「国立大学も競争に突入している。民間活力の導入で経費削減を図っていきたい」と話している。