『朝日新聞』2009年7月30日付

理系めざすなら、女子大へ 5大学が都内で講演会


「女子大の理系」をアピールしようと、都内を中心にした五つの大学が共同で31日、女子高校生や中学生を対象にした「サイエンスフェスティバル」を東京女子大(杉並区)で開く。ノーベル物理学賞を受けた小柴昌俊さんの講演で理系への関心を高めてもらい、卒業生や現役学生が女子大ならではの魅力をPRする。将来の女性研究者を掘り起こす狙いも込めている。

参加しているのは、東京女子のほか、お茶の水女子、津田塾、日本女子と奈良女子の5大学。いずれも理学部などの理系学部や学科を持つ。フェスティバルは一昨年に始め、今年で3回目。

小柴さんの演題は「やれば、できる」。「『理系分野は楽しい、と興味を持ってもらえる話を』とお願いしている」と、実行委員会責任者の大山淑之・東京女子大教授(数学)。

女子高校生や中学生に、まず理系に目を向けてもらおうと企画した。日本の研究者のうち女性の比率は13・0%(08年)で他の先進国と比べて低く、理系はさらに低いとされる。「多様な視点や発想を採り入れることが、日本の科学技術の水準向上に不可欠」との危機感が開催の背景にあるという。

そして、「女子大にも理系があることを知ってほしい」。共学の大学での勤務経験もある大山教授によると、理系の女子学生はゆっくりでも着実に理解する傾向が見られる。女子大は一般に、少人数教育などで指導がきめ細かいので、そうしたタイプの学生に向いており、就職状況も良いという。

フェスティバルでは、卒業後の進路を実感してもらうため、企業などの一線で働く30歳前後の卒業生5人が仕事のことなどを話す。現役の大学生や大学院生は学生生活について語り、質問にも答える。

31日午後1時から、杉並区善福寺2丁目の東京女子大講堂で。入場無料、一般の参加も可能。問い合わせは、同大教育研究支援課(03・5382・6451)。(小石勝朗)