『朝日新聞』2009年7月28日付

東工大が「経営教授」を採用 大学運営実務に専念


東京工業大学(東京都目黒区)が、教育研究はせずに大学運営に専念する「経営教授」(マネジメントプロフェッサー)制度を始めた。今月、その第1号として国際担当の教授が就任。産学連携担当教授も着任する予定で、大学運営の効率化につなげたいとしている。

国立大では近年、国際、産学連携、外部資金の獲得、広報など教員と職員の中間的な業務が増えている。通常は担当役員の下で、担当の教授が実務にあたっているが、彼らには教育研究という本務があるため、十分な時間を割くのが難しい。一方、専従の特任教員を採用する場合もあるが、その位置づけがあいまいだった。

そこで、東工大ではマネジメントセンターという全学組織を設置。センターに所属する教授(経営教授)が担当役員の下で実務にあたる体制を作ることにした。採用も学部ではなくセンターで行うので、研究業績に関係なく、実務経験が豊富な人材を採用できる。

国際担当となった遠藤悟教授(51)は日本学術振興会国際事業部企画官からの転身で、東工大の海外拠点作りや、海外の理工系大学とのネットワーク作り、留学生への対応などにあたる。「大学の事情を理解したうえで、具体的な方策を考えていきたい」と意欲を見せる。東工大の牟田博光理事・副学長は「役員は日々意思決定に追われているので、実務的なことを任せられる補佐的な存在がいれば助かるし、運営の効率化にもつながる。必要に応じて教授の数を増やしていきたい」と話している。