『中日新聞』2009年7月26日付

名大、留学生向けに英語で全講義 11年秋に新設


名古屋大(名古屋市)は2011年秋から、海外からの留学生を対象に、地域の特色を生かした「自動車工学」など計11コースを学部と大学院に新設する。講義のすべてを英語で行い、ノーベル賞受賞者を相次ぎ輩出した大学の強みを生かして、海外の優秀な留学生を呼び込む。

名大は、学術面では成果を出しているものの、国際的な規模で、優秀な学生をひきつけるまでにはなっていない。質の高い教育を英語で、留学生に提供することで、同大は、「『NAGOYA UNIVERSITY』として世界に発信したい」ともくろむ。

大学の国際競争力を高めようと文部科学省が今月採択した「国際化拠点整備事業(グローバル30)」に基づく。同事業は名大のほか東京、京都、早稲田、慶応など計13大学が選ばれ、卒業まで英語だけで講義を受けられることが条件になっているが、留学生向けに新たに設けるコースの設定は各大学の独自性に任されている。

学部は5コースで、理系の「自動車工学」「物理系」「化学系」「生物系」と文系の「国際社会科学(法学・経済学)」。工学部や理学部など既設の学部からは独立しており、従来の学部の枠を超えて横断的に学ぶことができる。例えば自動車工学では素材や機械、燃料、設計、電子回路など車に直接かかわる分野から、数学、物理などまで学べる。

現在、既設の学部に在籍する留学生とは違って、入学から卒業まで英語だけで学ぶことができ、日本語の能力は必要としない。学部の学生と同様に学士資格を得られ、大学院にも進学できる。

大学院の修士、博士課程にも6コースを設置。学部を卒業した日本人も進学できる。

11年10月にスタートし、初年度の定員は約180人。学力試験や面接などの入学選考を来年秋に行う。卒業後に日本で就職を希望する留学生には、キャリア教育や企業へのインターンシップを推進する環境も整える。

グローバル30は、20年をめどに留学生を約12万4千人(08年)から30万人に増やす国の計画の一環。約1300人の留学生がいる名大は、20年までに3千人に増やす。