『毎日新聞』2009年7月23日付

獣医師育成:課題は公衆衛生教育の充実 文科省専門家会合、16大学点検


獣医師を育てる大学の教育を見直す文部科学省の専門家会合が22日開かれ、獣医学部・学科を持つ国公私立計16大学についての点検結果が公表された。同会合は報告書で「多くの大学で公衆衛生等の社会的要求が高まっている分野の教育内容に課題がある」と分析し、教育の充実と学生に教える専門家の育成が急務だと指摘した。

すべての獣医学部・学科で最低限実施するのが望ましい73の履修科目を選び、それらが各大学で十分教育されているか、5段階(上からA〜E)で評価。その結果、公衆衛生に関連する実習科目で、全体的に教育内容の充実度が低いことが判明。例えば環境汚染物質や環境影響評価を学ぶ環境衛生学実習や、牛海綿状脳症(BSE)など人獣共通感染症に関する動物の疾病予防などを学ぶ動物衛生学実習は、計12大学で必要とされる教育内容の6割未満(C〜E)にとどまった。食品添加物や食中毒の検査を学ぶ食品衛生学実習も9大学が同様にC以下で内容が不十分だった。【江口一】