『毎日新聞』2009年7月17日付夕刊

医師不足:79大学で10年間、医学部定員369人増 大半を「地域枠」に−−文科省


文部科学省は17日、全国79大学の医学部の入学定員を来年度から10年間、過去最多だった今年度より369人増やして8855人にすると発表した。政府が昨年6月、医師養成数の抑制方針を26年ぶりに転換したことを受けた措置。増員分の大半は、卒業後の勤務地を指定する「地域枠」に充て、不足が著しい地方の医師確保策を本格化させる。

医学部定員は82年の閣議決定で、将来は医師が過剰になるとして減員が続けられ、03〜07年度は7625人まで減った。その後、医師不足の問題化で暫定的な定員増が図られ、今年度は80年代前半のピーク時と同水準まで回復した。

来年度は47都道府県に各7人までの増員を認める。卒業後に地元で数年間勤務することを条件に奨学金を出す「地域枠」とし、都道府県が大学と協議して割り振りを決める。学生のUターンを促すため、例えば東京都内の大学に他県が地域枠を設けることも認める。

また、解剖や医薬品開発などの研究者育成を目的とした学部・大学院一貫教育の特別コースとして全国で最大10人(1大学3人以内)▽歯学部を併設する大学で、歯学部定員減の転用分として最大30人(同10人以内)−−の増員も認める。その結果、全体の定員は07年度からの3年間で約16%(1230人)増えることになる。

文科省は5年後に再検討し、必要があれば上積みを図る構えで、「来年度から始まる新たな大学教育カリキュラムと臨床研修制度で、地域や診療科間の偏在も解消したい」としている。【清水健二】