『沖縄タイムス』2009年7月19日付

健康バイオ産業アジアの核へ 琉球大・県・産業界が拠点形成へ連携
1000人の雇用目指す/来月から本格化


琉球大学と県工業連合会、産学官ネットワーク形成に取り組むOKINAWA型産業振興プロジェクト推進ネットワーク、県の4者が連携し、8月から健康バイオ産業の新たな拠点形成に乗り出す。農業、食品加工、予防医療サービスなど多方面への波及効果が期待される健康バイオ産業を高度化し、県内産業を活性化させる取り組み。10年後には日本・アジアの健康長寿中核拠点「健康バイオアイランド沖縄」の確立を目指す。(島袋晋作)

産学官の代表的な機関が連携して特定の産業分野に特化し、拠点形成を進めるのは初めて。

具体的には、10年後に事業規模を1000億円まで拡大。年商100億円企業を10社誘致し、1000人の新規雇用創出を目指す。技術面では生物資源のデータベースを100万件、健康長寿遺伝子のデータベースを60万件蓄積。特許取得件数も500件を目標としている。

琉球大学産学官連携推進機構が調整機関となり、産学官連携の戦略を検討・提案。それぞれの設備を共同利用するなど有機的な連携体制を整備する。さらに、持続的・発展的なイノベーション(技術革新)が可能となるよう、評価・改善の管理体制も構築する。素材を生産したり、健康食品を加工する従来型の産業に加え、栄養機能食品産業や特定保健機能性食品産業を高度化し、医薬品、予防医療サービスも産業化する計画だ。

同計画は今年6月、地域産業の競争力向上を目指して経済産業省と文部科学省が公募した「地域中核産学官連携拠点」にも選定されており、両省の関連施策の活用や事業展開が優先的に受けられる。これとは別に、文科省が2009年度補正予算に695億円を計上した「地域産学官共同研究拠点整備事業」を活用して、県内に拠点施設を整備。共同研究や人材養成、交流促進などに役立てる。