『徳島新聞』2009年7月17日付

徳島大「地方の救急」着手 脳卒中・心疾患対応を整備


徳島大学は16日、地方の救急医療体制の充実を図る「脳卒中・心疾患のための最適救急体制の開発プロジェクト」に着手すると発表した。医師不足が深刻な海部郡をモデル地区に、脳卒中や心疾患の救急体制の現状を調査。そのデータを基に、郡内外の病院が連携して効率的な救急体制を整備する。

徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部の救急集中治療医学、脳神経外科、循環器内科などの教授7人が担当。郡内の県立海部病院や町立3病院、民間医療機関などと連携し、2009年度から3年間取り組む。

1年目は郡内の患者の発症状況をはじめ、救急体制や治療の現状を把握するため、今年10月から調査を開始。海部病院と3町立病院に専用のパソコンを置き、対象患者に関する▽搬送方法や所要時間▽病状▽治療方法−などを記録する。また月に1、2回、大学の担当者が病院や消防署などを訪れ、郡外の病院に救急搬送された件数や所要時間などの聞き取り調査も行う。半年間で100件ほどのデータを収集する予定。

来年度以降は、これらのデータを基に必要な医師数や設備を割り出し、郡内外の病院が連携した効率的な救急体制を考案。11年度にはこの救急体制の試験運用を行う。

調査開始に当たり、同大は21日、担当教授3人が海部病院で、海部郡医師会の医師や各町の医療担当者、消防関係者を対象に説明会を開く。

県によると、県立海部病院の昨年度の救急搬送件数は719件で、このうち脳卒中は52件、心疾患は16件だった。