『読売新聞』愛媛版2009年7月10日付

愛媛大に生命科学研究拠点…難病治療など目指す


たんぱく質合成法活用、6部門に43人配置

愛媛大は、東温市志津川の医学部本館内に、生命科学研究拠点「プロテオ医学研究センター」を開所した。同大の遠藤弥重太教授が世界に先駆けて開発した無細胞たんぱく質合成法を活用して、遺伝子に基づいて合成されるたんぱく質の仕組みを解明することで、がんや難病の診断、治療法の開発などを目指す。同大では、六つ目の先端研究センターとなる。

無細胞たんぱく質合成法は、小麦の胚芽を使って試験管内で様々なたんぱく質を大量に合成できる画期的な手法。遺伝子の解読から、遺伝情報に基づくたんぱく質合成の解明へと生命科学の重点が移行する中で、安価で大量のたんぱく質合成を可能にしたとして注目を集めた。

同センターでは、感染症や加齢制御、難治性神経疾患など6部門の研究に43人の研究者を配置。他の5部門と横断的に携わる「医用タンパク質技術部門」の部門長を遠藤教授が務める。

開所式で柳沢康信学長は「世界的な先端研究拠点であると同時に、地域医療に理解のある医療人を養成する研究と教育にまたがるセンターにしてもらいたい」とあいさつ。能勢真人センター長も「生命や疾病の仕組みに迫る研究を進め、発信していきたい」と抱負を述べた。

当面は各部門ごとに研究を進め、本館の改修工事が終わる2年後をめどにセンターの専用フロアが開設される見込み。