『中日新聞』石川版2009年7月12日付

金大 節約しまいかプロジェクト 経費↓じわり


研究との両立 見極めが課題

金沢大が昨年度から「SETSUYAKU(節約)しまいかプロジェクト」の名で取り組んでいる経費節減策が、じわりと効果を挙げている。学内で使う電気、水道、ガスなどを節減し、教職員が巡回するチームも編成し、学内の無駄に目を配る。「大学の役割を果たしながら、どこまで踏み込めるか」と一層の節約の道を探る。(本安幸則)

「暖房の温度設定を一八度にしていたら風邪をひいた、と怒られました」。ある日の会議で教員から指摘されたといい、財務企画課職員が苦笑いを浮かべた。

「事務局はそこまで細かい方針を定めていないが、一人一人が節約意識を持ってくれることが何より大事」と説明する。

国立大学法人化に伴い、大学の収入となる国からの運営交付金は毎年1%削減が続く。本年度は金沢大で一億三千万円。「対応策は、外部資金の獲得か経費節減」とする中、プロジェクトが動いた。

光熱水費や電話の通話料、コピー機の保守管理料の抑制などを盛り込む。さらに毎月第三金曜は早めに帰宅する「はよう帰りまっし日」と名付けた日も。電子メールを全教職員に送り、呼び掛けている。

昨年度は電気、ガス、上下水道、重油すべての項目で、前年度に比べて使用量が減る効果が出た。上下水道は10%以上、重油は前年度比約10%の減。しかし燃料価格の上昇で、金額ではトータルで八千八百万円の増となった。「節約がなければ、経費はさらに膨らんでいた」(財務企画課)と話す。

一方で、課題も口にする。「新しい技術を学生に教え、研究を進めるのが大学。その役割を果たしながら、どこまで節約できるか見極めるのが難しい」。節約の広がりと、定着も欠かせない。同課は「環境教育の一環として学生にも取り組みが広がれば、効果はさらに高まるはず」としている。