『秋田魁新報』2009年7月13日付

秋田育英奨学金、返還滞納額が最高に 倒産や就職難影響か


県育英会(野口周治郎理事長)が本県出身の大学・短大進学者に貸与している秋田育英奨学金の返還滞納額が2008年度末現在で7170万円となり、同会にデータの残る00年度以降、最高額となったことが分かった。滞納者数も133人で過去最多。同会は「卒業後に勤務先が倒産するなど、経済状況の悪化が滞納につながっているのではないか」とみている。

同奨学金の滞納額と滞納者数は08年度、前年度からそれぞれ403万2千円、23人増加した。

滞納額は00年度以降、増加傾向にあり、督促活動を強化した07年度を除けば、前年度比で400万—1200万円ほど増え続けている。滞納者数も00年度の53人から約2・5倍となった。

同会の担当者は、滞納額増加の理由について「勤務先の倒産やリストラ、卒業時に就職できないケースが増えるなど、近年の経済状況の悪化が影響しているのではないか」と推測。さらに、「本県では『子どもの学費は親の責任』と考え、親が返還しているケースも少なくない。親の経済状況が苦しい中、子どもも安定した収入を得られず、結果的に滞納してしまう人もいるようだ」とも話す。 同会では滞納者に対して文書や電話による連絡、家庭訪問などを実施し、場合によっては返還計画を記した誓約書の提出も求めている。