『西日本新聞』2009年7月10日付

九大に医療ロボ拠点 センター新設 産学連携で実用化促進


九州大学は9日、医療用ロボットなどの最先端医療技術の研究開発拠点となる「先端融合医療研究開発センター」を福岡市の九大病院地区に新設する計画を明らかにした。研究開発から臨床試験、治験まで一貫実施できるのが特徴。機械メーカーや製薬会社との産学連携を強化し、体の内側から手術できる内視鏡ロボットなど、先端医療技術の実用化に取り組む。

センターは国の先端イノベーション拠点整備事業に採択され、事業費のうち12億円を国が補助する。経済産業省は、九大が医療用ロボット技術や化学合成技術の拠点になると期待している。

計画では、センターは地上5階建て、延べ床面積約5千平方メートル。九大内に既にある高度先端医療センターなどを集め研究開発機能を強化。協力企業の実験室を設け田辺三菱製薬や日立製作所、島津製作所、安川電機などとの連携を推進する。九大の薬学部、農学部、工学部での医療分野関連の研究成果も集約する。

九大では、胃カメラのようにのみ込んで体の内側から腹腔(ふくくう)内を手術する内視鏡ロボットや患者を遠隔手術できる機械、直径1ミリのがんを検出できる化合物、などの研究開発を進めている。九大大学院の橋爪誠教授(先端医療医学)は「企業と手を組んで製品化、事業化を進めたい。九州のロボット産業振興にも役立つ」と話している。