『毎日新聞』和歌山版2009年7月9日付

和歌山大:紀州材の新学舎 観光学部は『癒やし』もテーマ


◇栄谷キャンパスに今秋着工

和歌山大学(和歌山市栄谷)が08年4月に新設した観光学部の新しい学部棟を、県特産の紀州材を使った木造2階建てにすることが分かった。今秋に栄谷のキャンパス内に着工する予定で、来春の供用開始を目指している。小田章学長は「紀州材を使うことは、地元の林業の振興、地域活性化にもつながる」と話している。【山下貴史】

小田学長によると、構想段階では経済学部本館棟と付属図書館の間に造る方針で、総事業費は3億〜4億円程度。原則として紀州材を使い、すべてはまかなえない場合でも、他の国産材を使って建てるという。観光学部は現在、経済学部講義棟などを使っている。

林野庁と県林業振興課によると、国の09年度補正予算で決まった「緑の産業再生プロジェクト(森林整備加速化・林業再生事業、1238億円)」の木造公共施設整備を活用するため、和歌山大は今月7日に同課に要望書を提出した。同課は今後、大学側の計画を精査したうえで、補助金を出すか決める。

観光学部は、07年度に経済学部の観光学科として設置され、翌08年度には国立大学法人として初の観光系学部として開設された。学部の拠点を巡っては、一時、和歌山市の中心市街地のビルなどにする構想があったが、経費や立地条件などで同市などと折り合いがつかずに断念、同大キャンパス内に設置することになっていた。小田学長は「観光学部は『癒やし』もテーマ。国のハコ物は普通、鉄筋コンクリート造りだが、木造の学部棟は癒やされるだろう。木造は時代への逆行ではなく、先取りだと考えている。学生、先生たちも喜んでくれると思う」と話している。