『中日新聞』2009年7月8日付

名大にエコカー拠点 産学官で研究、名城大はLED


名古屋大が東山キャンパス(名古屋市千種区)に、環境対応車(エコカー)の素材やシステムに関する産学官連携の研究施設を新設することが分かった。東海地方にはトヨタ自動車やホンダ、三菱自動車など各社がエコカーの生産・開発拠点を置いており、モノづくりの新たなけん引役を目指し、来年秋にも開所する。名大によると、エコカー関連技術を集約した大学の研究施設は全国で初めて。

燃費が良く二酸化炭素(CO2)の排出も少ないハイブリッド車や電気自動車などエコカーをめぐっては、世界市場で存在感が増すにつれて、メーカーの開発競争が激化している。

名大が新設する「グリーンビークル材料研究開発拠点」では、日本が強みを持つ炭素繊維複合材など超軽量素材で自動車のボディーを一体成型する技術の開発を目指す。エコカーへの搭載に向け、太陽電池、蓄電池などの電池技術を組み合わせた高効率システムの研究にも取り組む。

さらに、東海地方には三菱重工業や川崎重工業など航空機メーカーの拠点もあり、エコカーと航空機双方の技術交流を促す。

施設は4階建て、延べ床面積約2500平方メートル。総事業費は約15億円。経済産業省の支援で、部材の組成分析機などを導入する。

また、名城大も次世代の光源と注目される発光ダイオード(LED)の研究センター設立を計画している。経産省の支援で天白キャンパス(名古屋市天白区)に「最先端研究センター」(仮称)を建設し、2011年3月までにオープンする。

名城大にはLEDで世界的権威の赤崎勇特任教授もおり、材料に炭化ケイ素を活用することで消費電力を減らし、寿命を延ばす技術の確立に挑戦する。