『東海日日新聞』2009年7月12日付

豊橋技科大に先端融合研究所


豊橋技術科学大学(榊佳之学長)が、来年度からスタートする第2期中期目標・中期計画のメーン事業にしている「エレクトロニクス先端融合研究所」に対し、計画の承認だけでなく、今回の国の補正予算で、建物の建設費まで付いた。

同大学が開学以来、大きな特色にしてきた「インテリジェントセンシングのフロンティア(半導体、LSI工場)」をベースに、生命科学や農学、医療など先端科学との融合を図り、世界的な研究拠点をめざす。

大学法人化に伴い、同大学は、西永頌前学長のもとで、第1期中期目標・中期計画を立て、進めてきた。今年度が最終年度となる。

榊学長の就任に伴い、第2期中期目標・中期計画づくりを行い、文部科学省に承認を求めていた。LSI工場は、設計から製造まで一貫して行える施設で、国内の大学では豊橋技科大だけ。そのため、大きな特徴になっており、国のグローバルCOEプログラムにも指定されている。現在、石田誠副学長を中心にプロジェクトを進めている。

エレクトロニクス先端融合研究所は、このLSIをベースに、生命科学、農学、医療、情報通信、環境、社会科学、ロボティクスなどの先端科学との融合を図っていく研究拠点施設。来年度中に同センターを設け、研究所に昇格させる。

合わせて、若手研究者を育成するテニュア・トラック制も認められた。5年後に間に合う若い世代の研究者を世界から募集する。その間の人件費および研究費は国の負担となり、エレクトロニクス先端融合研究所の大きな戦力となる。

すでに始めている大学もあるが、認められたことで、今後、希望者を募集する。

研究所は、広さ1500平方メートル規模。補正予算でテニュア・トラック制とともに、研究所の建設費が認められたことで、榊プログラムの実現に向けて、大きな一歩を踏み出した。

榊学長はこのほど開いた懇談会で、「エレクトロニクス先端融合研究所は、LSI工場を発展させて、私の専門である生命科学や農学などと融合を図り、先端科学の一翼を担うもの。中核メンバーとなる若手研究者の育成が認められただけでなく、申請しておいたら、今回の補正予算で建物まで建設していいということになった。相当高度なものを詰め込んだ施設になる。次の6年間の発展の芽になると思うし、学内の期待も高い」と意欲的に説明した。