『東海日日新聞』2009年7月1日付

豊橋技科大が大規模再編


豊橋技術科学大学(榊佳之学長)は30日、学内で記者会見し、来年度から実施する学部・大学院の再編内容について公表した。現行の8課程(専攻)を5課程に再編し、学部3年次編入生の定員枠を拡大、これまでの3学期制を2学期制に改めるなど、76(昭和51)年の開学以来、最大規模の再編となる。生命科学者である榊学長の考え方を反映し、総合教育院を設置、「生命科学」などを全学部の必修にするなど、先進的な取り組みも加えた。

豊橋技科大は機械システム工学はじめ、生産システム、電気・電子、情報、物質、建設の6課程で出発。その後、知識情報工学(88年)、エコロジー工学(93年)を加え、計8課程。

これを再編により、来年度から基幹産業を支える先端的技術分野として@機械工学A電気・電子情報工学B情報・知能工学、持続的発展社会を支える先導的技術分野としてC環境・生命工学D建築・都市システム学の計5課程に改める。大学院も同様。

教員はこの5課程のほか、総合教育院の6学系に属すことになる。

再編の理由として、社会産業構造の変化やグローバル化時代に対応した人材育成の要求などを挙げ、高い専門性に加え、幅広い視野をもち、社会の変化に柔軟に対応できる技術者を養成できる組織づくりを強調。

総合教育院を設置し、生命科学や環境科学を必修化する。

また開学以来の伝統である「らせん型教育」を強化。学部2年次にプロジェクト研究(ミニ卒論)を課すほか、4年次の実務訓練の充実、大学院博士課程におけるテーラーメイド(希望業種)・バトンゾーン(企業協働)教育」を導入。企業で働きながら学んだり、企業を退職した優れた技術者を客員教授や特任教授として招く。

技科大の主な学生となっている高専生の学部3年次の編入人員枠を60人(12年度実施)拡大し、360人とするほか、大学院も連動。そのほか現在の3学期制を2学期制に改め、合わせて1コマ75分授業、1日6コマを90分、5コマににし、他大学との単位互換をしやすくする。

こうした大再編に合わせて、世界の産業を支える力強い人材育成をモチーフにしたコミュニケーションマークを制定した。榊学長は質問に対し「大学自体の再編問題もあるが、学内を充実していき、どんな事態にも対処できるようにしていきたい」と答えた。