ニュースレターNO.14
2009、6,19


 公正な学長選考を求める裁判を支える会
  事務局:高知県高知市曙町2−5−1高知大学教職員組合内
  (TEL/FAX088−844−1489)


  6 月16 日「弁論準備手続」報告!

行政訴訟の「弁論準備手続」が高知地裁において6 月16 日(火)午前11 時に開催されました。小法廷(ラウンドテーブル)での審議で、多くの傍聴者が入ることができないため、今回は敢えて広く参加を呼びかけませんでした。以下当日の模様を報告します。

裁判は定刻に開始されました。本来非公開ですが、我々大学関係者は傍聴を認められ、最大20 名ほど座れる傍聴席はほぼ埋まりました。原告側弁護団はこれに先立ち、被告側の原告適格なしという答弁書に対する反論として「原告第一準備書面」を5 月29 日に提出していました.これを受けて裁判長から原告側被告側それぞれに以下のような要請がありました。

被告(国)側に対しては「原告第一準備書面」にある「原告高橋氏は学長任命処分の相手方である」という主張に対する反論を書面で提出すること。一方、原告(我々)に対しては、被告側答弁書の「本案」(原告適格以外の部分。つまり、国が行った学長任命は正当であったという主張)に関して、反論を書面で提出することです。

裁判所が原告適格についての弁論(入り口の議論)の決着を待たず、原告側に「本案」に関する主張を提出させる判断をしたということは、いよいよ実質的な審理に入ることを意味し,画期的です.それゆえ,今回の審議は今後の裁判の展開にとって極めて重要な一歩になったといえます。

次回は9 月18 日11 時30分から今回に引き続いて「弁論準備手続」が行われます。


      原告側第一準備書面の要点
      
※注:この部分は、原文では表形式となっており、縦軸が高橋・根小田両氏の原告適格、横軸が被告(国)側・原告側主張となっているが、転載の都合上、以下のように記している。


1 高橋正征氏の原告適格

【被告(国)側主張】

@高橋氏は「学長任命処分の相手方以外の者」である。

A高知大学学長選考規則は学長選考の手続きとして、学長、理事、大学教員らについて、学内意向調査の資格を有する旨定めるが、これは大学内部においてのみ妥当する法規制のない自主的内部規範にすぎず、行政事件訴訟法にいう「関係法令」には該当しない。したがって、第一次学長候補者であった高橋氏には「法律上の利益」が認められない。


【原告側主張】

@高橋氏は「学長任命処分の相手方」である。なぜなら高橋氏は「学長という法的地位を巡って」相良氏と「競願関係」にあり、相良氏を任命することは、実質的には高橋氏の任命を拒否することであり、高橋氏は、「自己に対する任命拒否処分があった場合、その取消を求める法的利益があると同様、」競願者である相良氏を学長に任命した「本件処分の取消を訴求しうる原告適格を有する」

A憲法第23 条が保証する大学の自治の核心は「大学の運営はその大学における研究者、教授等の自主的判断に任され、特に学長、教授その他の研究者の選任は、大学の自主的判断にもとづくとする原理である」。「学長選考規則にもとづく学内意向投票の結果の尊重こそがその核心となるものである」。したがって、「大学の自治」及び高橋氏の「再手続きによる学長任命の可能性」の回復は「法律上の利益」に当たり、高橋氏には原告適格がある。

2 根小田渡氏の原告適格

【被告(国)側主張】

学長任命処分においては、個々の学長選考会議の委員の個別的利益を考慮するものではない。

また、高知大学学長選考会議の総意は、相良氏を学長候補者とする旨決定している以上、根小田氏は高知大学学長選考会議の委員を代表して取消訴訟を提起しているのではなく、高知大学の一教員の立場で訴訟を提起しているものと考えられる。学長任命処分においては、教員、職員等の個別的利益が考慮されているとは考えられないから、根小田氏にも法律上の利益は認められない。

【原告側主張】
「学長選考会議構成員には学長選考過程の違法不当を糺す権利と義務とが承認されなければならない。」

「当該違法行為が放置されたままの状態に置かれ」た場合「大学の自治さらには学問の自由という憲法で保障された基本的人権が侵害されるという重大な結果をもたらす」

よって、「学長選考会議構成員」である根小田氏には「法律上の利益が認められてしかるべきである」



  連載開示文書から第3回


情報開示によって、大学側が開示した文書は次の3 種類です。1、学長候補者の任命申し出関係書類2、学長選考過程における疑問点について3、業務監査実施報告書。

1 の問題点(はじめから内容が同じ!)については1〜2 回でご報告しました。このあと何回かにわけて、2 についてご報告します。これは、2008 年1 月11 日に文部科学省の質問に対してメールで大学側が回答したものです。つまり、2007年11月12 日に文部科学省に持っていった上申書が受け取ってもらえず、その約2ヶ月後に出したものということになります。このあと2 月15 日にも「上申書」は受理されていませんので、文部科学省側は、この回答には満足してはいなかったものと考えられます。

A4 版24 枚の資料の内7 枚が文部科学省の問いにQ アンドA のような形でこたえたもので、問いは全部で18 あります。添付された資料は4 種類あり、1、学長選挙管理委員会委員名簿2、学内意向投票管理委員会の委員名簿3、学生有志による学長選考会議学外委員に対する公開質問状4、それに対する回答(4通)です。

資料3と資料4については、名前の消し方(****様)から見て、どうも、「高知大学学長選考を考える」というサイトから「コピペ」したもののようです。サイトの管理者に許可を得てのものかどうか確認していませんが、「やたらにインターネットから資料をコピペするな」という教育は学生に対してだけでなく、本部職員にも必要なようです。

それでは、この文部科学省とのやりとりの内容について次回から見ていきたいと思います。